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黄昏者の徒然日記

王将前社長の義理固さ…京都橘サッカー部との「約束」果たした

「餃子の王将」をチェーン展開する「王将フードサービス」の社長射殺事件で、亡くなった大東隆行さん(享年72)は赤字が続いていた同社の経営を立て直した「カリスマ社長」として知られていた。その一方で、毎日コツコツと仕事に励んだり、お世話になっている人たちへの感謝の気持ちを表したりと、気さくで温かみのある人柄を示すエピソードも次々明らかになっている。事件から1カ月が過ぎても解決の糸口が見えない中、取材で垣間見えた人物像を振り返った。(大津支局 海住真之)

 ■掃除のおじさん

 大東さんが京都市山科区の同社本社前で射殺されたのは、昨年12月19日早朝。「王将の社長が撃たれた。すぐ現場に行ってくれ」。デスクからの指示を受け、すぐさま応援取材に向かった。現場周辺に到着すると、100人を超える報道関係者がすでに取材を始めていた。

 本社周辺の住宅一軒一軒を訪ね、大東さんのことを聞いて回った。「経営のカリスマ」を印象付ける話を思い描きながら家々を回ったが、多くの住民の口から出てきた大東さんは、「掃除のおじさん」だった。

 「本社の前を通りかかるたびに、社長が1人でホースで水まきをしていた」。近隣住民の大半が口をそろえた。ただ、なぜ掃除をしていたのかと尋ねても、「きれい好きだったんじゃない?」などと深くは知らない様子だった。

 そんな中で、「掃除の理由」を大東さん自身から聞いたという人物がいた。現場付近にたたずんでいた白髪交じりの高齢の男性だった。

 近所に住むこの男性はある朝、大東さんに毎日掃除をする理由を尋ねたところ、「食べ物を扱う仕事だから、清潔さを大事にする姿勢を従業員に示さなければならない」と答えたという。

 どの従業員よりも早く出社し、掃除を日課にしていた大東さん。「従業員としての心構えを、身をもって示すということがモットーだったのかもしれない」(男性)。「カリスマ社長」の意外な一面を見た。

 ■「食べ放題」に招待

 3日間続いた応援取材の最終日、現場で先輩記者からある指示を受けた。

 「京都市内の王将の店舗で、サッカー部員を『食べ放題』に招待していたという話がある。確認してくれ」

 王将関係者への直接の取材は難しいと聞いていたが、「事実なら、とてもいい話。大東さんの人柄を伝える記事になる」。そう思って開店間際の店舗を訪れ、店員を呼んで店長への取材を申し入れた。しかし、店員からは「取材はお受けできないことになっている」との返答。

 「事件に関係する取材ではない」「亡くなった社長の素顔や皆さんの気持ちを伝えたい」。店先で、そう頼み続けていると、奥から柳瀬英宜店長(53)が出てきて、ようやく取材に応じてくれた。

 柳瀬店長によると、大東さんは昨年度の全国高校サッカー選手権大会で準優勝した京都橘高校(京都市伏見区)のサッカー部員たちを、王将の食べ放題に招く「慰労会」を企画し、大会後に部員たちを招待したという。

 大東さんは、部員たちが昨年度の大会前に調整を行っていた遠征先で、スタミナを付けるため王将で食事をしたことを知り、王将を頼りにしてくれたと感激。同校が全国大会で優勝した際には、「王将で祝勝会を開き、メニューすべてを食べ放題にする」と部員たちと約束していたのだ。

 結果は準優勝だったが、「活躍したことに変わりはない」と、「慰労会」に名前を変更。学校近くの店舗を臨時休業させ、全部員や監督、コーチら約100人を招待し、160人前の餃子など、総額約30万円分をふるまったという。

 「社長は、大切な小遣いで食べに来てくれる高校生たちに感謝の気持ちを表したいと考えていたようだ。私たちもその思いを受け継ぎ、お客さんに感謝して仕事をしていきたい」。柳瀬店長は言う。

 身近にあって多くの人が利用する王将。感謝の気持ちを持って、お客さんを大切に…。従業員には大東さんの“イズム”がしっかりと受け継がれている。
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  1. 2014/01/31(金) 20:45:01|
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